横断的研究 cross sectional study | ||
Syn: disease frequency survey, prevalence survey | ||
ある集団を対象に、ある時刻での病気とそれと関連が疑われる原因や検査結果などの有無をみる研究。 | ||
コホート研究cohort study | ||
Syn: concurrent, follow-up, incidence, longitudinal, prospective study | ||
疫学的研究の1方法で、ある定義付けられた一群の観察集団を、未来に向かって(prospective)長期間(通常は年単位)にわたり追跡して行く。その中で、仮説で原因としている因子の暴露されているグループとされていないグループにわけて(あるいはその程度にわけて)、疾患の罹患率や死亡率などを観察し比較するもの。
観察集団を初めから固定して全員を一斉にスタートして観察してゆく場合(固定コホート)と、時間とともに追加してゆく場合(動的コホート)がある。
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症例対照研究 case-control study | ||
Syn:case comparison study, case compeer study, case history study, case reference study, retrospective study | ||
関心をもっている疾患に罹患した患者とそれにマッチ(性別、年齢、喫煙歴など)した疾患を有しない人とでの暴露(危険因子:risk factor)の比率を比較する疫学的観察研究疾患の発症後に、その危険因子の暴露を後ろ向き(過去に向かって)調べるため、後ろ向き(reterospective)研究となることが多い。 | ||
無作為(ランダム化)比較試験 randomized controlled trial (RCT) | ||
Syn: randomized clinical trial | ||
治療などの介入の効果をみる際に、介入する群と非介入群(標準薬や偽薬投与などを含む)に分け、対象となる人がどちらの群にするかを無作為に決定して割り振って行う研究. Concealment of allocation 無作為対照試験で介入群と非介入群の振り分けを予めわからないようにすること.
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Cross over trial | ||
Syn: | ||
2つの比較する治療法(介入)A,Bに対して、無作為に対象を2群に分類し、一方についてはA,Bの順で一定の期間治療を行い、もう一方はB,Aの順で一定期間の治療を行った上で、その効果を比較する研究。問題は、穿孔する治療効果が次の治療との切り替え時に影響することで、この影響をなくすために、washout period(rule-in period)という、何の治療も行わない期間をいれることもある。 | ||
N-of-1 trial | ||
Syn: | ||
1症例において、実験的な治療(例:新薬など)と通常の治療あるいは偽薬(placebo)を交互に一定期間投与して、その効果をみる検討。治療は、両者の違いが明らかに異なる、あるいは異ならないということがわかるまで繰り返し行う。(cross over trialの繰り返し)また、可能な限り、患者と治療者ともにどちらの治療薬が投与されているかについてはマスクされた状態で行う。また、治療薬の順番や期間などはランダムに決定される。 ・ Sackett DL et.al. N-OF-1 TRIALS in Evidence-Based Medicine How to Practice and Teach EBM 2nd Ed. 150-153 Churchhill Livingstone ,2000 |
率Rate | ||
現象の起こる頻度を示す。 二つの統計量A,Bがあった場合に、Aが起こる率は A/(A+B)となる。 | ||
比 Ratio | ||
二つの事象の頻度の比率を示す。例えば性比など 二つの統計量A,Bがあった場合に、A/B、あるいはB/Aとなる。 | ||
オッズ Odds | ||
ある事象が起こる確率と同事象が起こらない確率の比 p/(1-p)
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オッズ比 odds ratio | ||
Syn:cross-product ratio relative odds | ||
二つの事象のオッズの比 ある疾患におけるある因子の影響を考えると、因子に暴露された群で病気がおこった数a、起こらなかった数b、因子に暴露されなかった群で病気が起こった数c、起こらなかった数bとすると、因子暴露の有無による病気の起こるオッズ比はad/bc (cross-product)となる。 | ||
相対的危険度 relative risk | ||
Syn: risk ratio | ||
ある一定期間内に、危険因子に暴露された群で病気の起こる確率と危険因子に暴露されなかった群で病気の起こる確率の比
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尤度比 likelihood ratio | ||
Syn: | ||
2診断検査では、疾患(病態・事象)を有する患者でその検査結果が出現する確率を疾患(病態・事象)を有しない患者で同じ結果が出現する確率で割ったもの | ||
絶対危険減少absolute risk reduction(ARR) | ||
Syn:risk difference | ||
2つの比較するグループでの発現率(event rate)の絶対値の差 | ||
Number Needed to Treat (NNT) 治療効果発現必要症例数 | ||
Syn: | ||
一つの悪い結果(event)を防ぐために、何人の人に治療をしないといけないかをみたもの。 ARRの逆数になる。 |
バイアス Bias | ||
結果や推定が真の値からずれること、あるいは、そのようなことが起こるプロセスを言う。
データ収集、解析、解釈、出版などのいずれの過程でも起きうるもので、結果が系統的(systematic)に誤差を含んでしまう。 1. 測られた値が真実の値から(一方へ)系統的に変位すること(syn: systemic error) 2. 測定の系統的変位や、データ回収時、研究デザイン、解析の欠陥により引き起こされる統計値(平均、比率、相関など)が真の値から変位すること 3. データ回収時、研究デザイン、解析、結果の解釈の欠陥により引き起こされる推定が真のものから変位すること Sackett DL. Bias in analytic research J Cbronic Dis 1979;32:51-63 。 | ||
インパクトファクターバイアス impact factor bias | ||
有意な結果が出たRCTはよりimpact factorの高い雑誌に掲載される傾向があること Easterbrook, PJ, et al. Publication bias in clinical research. Lancet 1991; 337 : 867-72. Ioannidis, JPA, et al. Issues in comparisons between meta-analyses and large trials. JAMA 1998;279: 1089-93. | ||
移転バイアス transfer bias | ||
初期状態から結果に至る途中で当初の群から脱落したり別の群に移ったりすることで、結果に歪みを生ずること.
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引用バイアス citation bias | ||
有意な結果の出た研究のほうが頻回に引用される傾向があること Gotzsche, PC. References bias in reports of drug trials. BMJ 1987 ; 295 : 654-6. | ||
患者選択バイアス selection bias | ||
当該疾患の代表的患者群でないために結果に歪みを生ずること
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観察者バイアス observer bias | ||
調査者が研究仮説とアウトカムの有無を知っていると先入観に応じて判断が偏ること | ||
絶対危険減少absolute risk reduction(ARR) | ||
Syn:risk difference | ||
2つの比較するグループでの発現率(event rate)の絶対値の差 | ||
検出バイアス detection bias | ||
結果の測定方法が相同でないこと. 検出バイアスを避けるための最良の方法はマスク化であるが、それができないならば測定を完全に操作化・構造化することである. | ||
言語バイアス language bias | ||
有意な結果が出たRCTは自国語よりも英語で報告される傾向があること Egger, M, et al. Language bias in randomised controlled trials published in English and German. Lancet 1997 ; 350 : 326-9. | ||
出版バイアスpublication bias | ||
有意差の出た研究のみが報告され、有意差の出なかった研究は報告されない傾向があること | ||
初発症状バイアスprotopathic bias | ||
疾患の初期症状のために要因に暴露され、そのために要因と疾患との関係が誤って検出されること 例えば、胎児に何らかの異常があるゆえに不正出血が起こり、これに対して対照療法的にホルモン投与が行われた場合、ホルモンと奇形との関連において、ホルモンが奇形を生じたと結論するような誤り | ||
紹介バイアス referral bias | ||
Syn:患者選択バイアス selection bias | ||
研究に集められた人とそうでない人の患者特性の系統的な違いによって引き起こされるエラー。例えば、ボランティアのみに限る、死亡した患者を除く、ある特定の施設にきた患者(referral patients)のみ、入院患者のみなど。結果を一般化する場合(generalization)に、患者特性の異なる集団に当てはめる際に問題となる。 | ||
施行バイアス performance bias | ||
結果の測定方法が相同でないこと. 検出バイアスを避けるための最良の方法はマスク化であるが、それができないならば測定を完全に操作化・構造化することである. | ||
精査バイアスwork-up bias (確認バイアス) | ||
一方の群のほうが診断確定の不十分な例を多く含んでいる場合におこるバイアス。 特に、検査結果が陽性であったもののみがgold standard の検査を受け、陰性の場合には受けない場合など。 | ||
参照バイアス review bias | ||
診断特性をみるなど目的とする検査(index test)の判定(解釈)をする際に、標準的検査(Gold standard、reference standard)の結果を参照したために起こってくる影響:test-review bias 標準的検査の判定(解釈)を行う際に、目的とする検査の結果を参照して行うことで起こってくる影響:diagnosis-review bias | ||
想起バイアス recall bias | ||
過去の事象や経験についての記憶を思い起こす(想起)場合の正確さや完全さが異なるために起こるエラー 調査者がブラインドであっても、被験者は通常ブラインドにはできず、症例群のほうが有害と思われる物質への暴露をより多く想起すること | ||
Berksonバイアス Berkson's bias | ||
選択バイアス(selection bias)の1種で、症例対照研究で、病院内での症例と対照では、症例がより多くの暴露された例を含むことでその暴露率が異なることによる。 要因への暴露の有無によって、疾患を有するもの、あるいは疾患を有しないものの中で、病院にかかる率が異なり、odds ratio (OR) が歪むこと Berkson, L. Limitations of the application of 4-fold tables to hospital data. Biometrics Bull 1946 ; 2 : 47-53. Roberts, RS, et al. An empirical demonstration of Berkson's bias. J Chronic Dis 1978 ; 31 119-28. | ||
Neymanバイアス Neyman bias | ||
Syn:prevalence-incidence bias | ||
ほとんどすべての症例対照研究が、病院を受診した人口のみから患者群と対象群を得るので、病院にかかる前に死んでしまうような病気、あるいは逆に病院へかからないでも一過性ですんでしまうことが多い病気の場合、得られた患者群はその疾患に代表的でない可能性があること | ||
無回答者バイアス non-respondent bias | ||
あらかじめ症例群ないし対照群として選んだもののうち、調査に応じたものの比率が偏ることによって結果が歪むこと | ||
面接者バイアス interviewer bias (=観察者バイアス observer bias) | ||
面接者、あるいは観察者の無意識的、あるいは意識的なデータ収集によって引き起こされるエラー | ||
罹病性バイアス susceptibility bias | ||
調査対象者の初期状態においてアウトカムの発生しやすさに差があること. 無作為割り付けのみが罹病性バイアスを排除し、未知の因子に対しても均等に分布させられる. | ||
範囲バイアス spectrum bias | ||
対象となった患者が偏っているために診断検査の能力の評価に偏りが生ずること Ransohoff, DF, Feinstein, AR. Problems of spectrum and bias in evaluating the efficacy of diagnostic tests. N Eng J Med 1978 ; 299 : 926-9. | ||
リードタイムバイアス lead time bias | ||
Syn: zero time shift | ||
健診などのスクリーニングにより、早期発見された病気の患者群の余命が、発症時点方向へ向かって余命計算の開始点がシフトされることにより延長し、過剰推定されること。すなわち、その疾患の自然経過の中のどの時点(ステージ)から開始するといったことが統一されていないためにおこる系統的エラー | ||
期間バイアス length bias | ||
進行がゆっくりした疾患の方が、早い疾患より、より頻回に健診スクリーニングにかかることになるため、より高頻度に発見されることになることによるバイアス。 |
系統的再評価 systematic review | ||
明示的な形での文献検索によって得られた医学文献について、それぞれに批判的吟味(critical appraisal)を行い、適切な統計的な解析を行ってまとめる一連の作業やそのサマリー | ||
メタ分析 Meta-Analysis | ||
異なる研究における結果を、統計学的手法を用いて統合(combine)する方法。組み込まれる研究は批判的に吟味され、各種のクリティカルなバイアスが含まれていないことが前提条件となる。 | ||
一般化Generalizability | ||
Syn:applicability, external validity, relevance, transferability | ||
システマティックレビューなどで得られた結果が、他の状況にある集団にも適用できるかどうかの程度。 | ||
Gold standard | ||
Syn:reference standard | ||
一般的に受け入れられた、最も正確な検査方法、手技、測定法 しばしば、新しい検査法と比較される |