診断特性に関する論文のチェックリスト(案)

Check_list V1-1 by 研究班
研究班で作成しました診断特性を扱った論文に対するチェックリストです。
皆さまのご意見、ご批判をお願い致します。

ご意見をお待ちしております 川崎医科大学 検査診断学  石田 博まで

PDF版ファイル


     
ID-No.:Study-No.: 評価者:
タイトル:
著者:
発行誌:
発行年:
実施地:
出版形式:
□ 原著□レビュー□ レター□抄録
□ 学位論文□その他


全般的項目:
セッティング:
□ 一般診療所□ 一般病院□ 紹介病院または大学病院
□ 地域□ ボランティア
施設間協力:
□ 単施設□ 多施設 (< 5 施設)□ 多施設(≧5 施設 )
研究の経済的支援:
□ なし □ 政府系 □ 財団□ 関連会社 □ 非関連会社
複数検査間比較:
□ はい□ いいえ
精確度評価:
□ 感度&特異度 □ 尤度比 or オッズ比 □ ROC □ ROC&曲線下面積

研究デザイン
1-1. 研究実施タイプ
□ 横断的研究 □ 縦断的-後ろ向き □ 縦断的-前向き □RCT □不明
1-2. 標準的検査(reference standard, gold standard)の適切さ
□ 適切 □ まずまず(最適とは言えないが臨床的に許容できる。) □ 不適切
1-3. 目的検査(index test)と標準的検査の結果が互いに独立して(マスクがなされて)評価されているか?
□ 互いにマスク□ 標準検査にはマスク□目的検査にはマスク
□ 不明・記載なし
1-4. 対象のすべての患者が標準的検査を受けたか?
□ はい □ いいえ □ 不明
1-5. 目的検査は他の臨床的状況に関わらずなされているか?
□ はい □ いいえ □ 不明
1-6. 治療的介入がなされる前に標準的検査を受けているか?
□ はい □ いいえ □ 不明
1-7. 対象集団(患者)の選択(inclusion and exclusion)基準は?
□ 基準(症状・徴候など)が明確□ 基準が明確ではない□記載なし・不明
1-8. 対象集団からの選択
コホート研究の場合
□ 1-7で選択された全対象□ 1-7で選択された中から無作為に抽出 □ 不明
症例対照研究の場合
□ 対照(Control)のマッチングが妥当□ 対照のマッチングが不適切□ 不明
1-9. 複数の検査(index test)が比較される場合に
全患者に全検査を割り付け □ 無作為に患者ごとに割り付け
□ 異なる患者に異なる検査(非無作為に)を割り付け

検査の記載 □ あるが適切と言えない
2-1. 検査方法や手技についての記載
□ 適切 □ 不十分だが再現可能 □ 不適切あるいはなし
2-2. 標準物質(reference material)についての記載
□ 適切 □ あるが適切と言えない□ 記載なし
2-3. 検体採取と保存についての記載
□ 適切 □ あるが適切と言えない□ 記載なし
2-4. 基準値やカットオフ値の記載
□ 適切 □ あるが適切と言えない□ 記載なし
2-5. 検査値変動についての記載
□ 適切□ 記載なし


結果の記載
3-1. 対象患者の特性(年齢・性別・受診医療機関・疾患の重症度・併存疾患など)の記載は?
□ 適切 □ まずまず □ 不適切
3-2. 有病率が記載あるいは計算可能か?
□ はい□ いいえ
3-3. 標準的検査を受けた症例やドロップアウト例の記載は?
□ 全例 □受けなかった例(あるいは受けた例)が詳述されている
□ 受けなかった例があるが詳細不明□ 記載なし
3-4. 結果の表現とその記載
3-4-1 2 × 2表で表されているか? (作成可能か?)
□ 複数のカットオフ値で □ 単一のカットオフ値で□ 記載なし
3-4-2(A). ROC曲線、または、複数のカットオフ値についての尤度比、あるいはオッズ比が記載されているか?
□ 複数のカットオフ値による尤度比□ 曲線下面積を示したROC曲線
□ 曲線下面積のないROC曲線□ 1カットオフ値の感度・特異度
3-4-2(B). ROC曲線下面積、尤度比・オッズ比についてその信頼区間が記載されているか?
□ 信頼区間(SD)が記載される□ 値のみ□ 記載なし
3-5 サブグループについての解析がなされているか?
□ はい□ いいえ


注意事項:
1-2. 適切:臨床的に考えて最も真に近い、まずまず:最適な確定診断は他にあるが、臨床的に了解できる範囲である。
注:標準的診断確定法(reference standard)は"完全に適切"であることは滅多にない。理想的には、異なる研究で用いられた標準的診断確定法はその妥当性(精確度)からランク付けされるべきである。
1-3. "review bias" を防ぐ。結果の判定が、他の検査の結果に独立して(その結果をマスクして)なされているか? 
・index test(目的とする検査)が先にされる前向きコホートスタディでは、reference standardがその検査と独立に評価される。
・reference standardが先行する症例対照研究(Case control study)では、index testがそのreference standardの結果と独立して評価されていること
1-4. "work up or verification bias"を防ぐ。
   ・コホートスタディでは、両方の検査が行われる。あるいは、reference standardが侵襲が強い、あるいは高価の場合には、綿密な観察で。
・症例対照研究(Case control study)では、index testが先行する場合に、その結果によらずにreference standardがなされていること。Reference standardが先行する場合には、そのreference standardを行うことになった臨床的な因子で、index testの結果が層別化されている。
1-5.
1-6. "treatment paradox"を防ぐ。検査結果で治療が行われた後に、reference standardが施行されると、結果に影響する。
1-7. 対象となったsubjectの組み入れ基準と除外基準が明確に述べられているか
1-8. 組み入れ基準を満たすsubjectの中での実際に検査がなされたsubjectの選択についての記載。定義された対象集団の中では、次のサンプリング戦略(方法)のいずれかによって 選択バイアスを防ぐことができる。
・一連の患者について標準的診断確定法を行う
・一連の患者の中から無作為に抽出して標準的診断確定法を行う
  ・検査が陽性あるいは陰性であった人の中から無作為に抽出して標準的診断確定
法を行い、抽出率が異なる場合にはその率で補正する
・ 標準的診断確定法で疾患がある、あるいは無いとされた集団について無作為に 抽出し検査を行う。
1-8B. 確定診断から選択された患者をケースとする。

2-1. 測定に関する基本的なperformanceが記載されているかにも着目する。
2-2. 標準物質(一次、二次など)の記載がされているか?
2-3. 採取〜測定に至るまでの記載(保存する場合の方法など)がされているか?
2-4. indeteminate(灰色あるいは境界の) test resultsの取り扱いを含む
2-5. 検査の再現性の検証(測定方法のreproducibility)

3-1. Spectrum composition→他施設でも結果が活用できるか? (一般性がOKか?)
3-2. 算出可能であれば良い
3-3. 対象subjectで最終的に結果に含まれなかった例数とその理由について記載されているか?
3-4. precision of results for test accuracy:分布図で示される場合には、その実数が読みとれる場合には同様に扱う
・ 2×2表で表示されているもの(精確度・信頼区間については計算可能)とROC 曲線、尤度比については同格と扱う。実際にはROC曲線下面積がその信頼区間とともに表示されている場合が良い場合(複数検査の比較時)と、複数(あるいは単数)カットオフ値での尤度比が記載されている場合(実際の臨床に活用する)とで異なる。
3-4-1と3-4-2の両方が当てはまる場合には、どちらか一方を選択する。
3-5. 適切に層別化された集団でのtest accuracyが記載されているか?

参考文献
1. Irwig L, Tosteson ANA, Gastonis C, et al. Guidelines for meta-analyses evaluation diagnostic tests. Ann Intern Med 1994;120:667-676.
2. Bruns DE, Huth EJ, Magid E, Young DS Towards a checklist for reporting of studies of diagnostic accuracy of medical tests Clin Chem 2000; 46, 893-895
3. Jaeschke R, Guyatt G, Sackett DL. Users' guides to the medical literature III. How to use an article about a diagnostic test. JAMA 1994;271:389-391
4. Reid MC, Lachs MS, Feinstein AR Use of Methodological Standards in Diagnostic Test Research. JAMA 1995;274:645-651

Last update:2001/01/22